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家政婦の水戸

第2章 長女、恵実と水戸さん

 まずは、わざと、恵実が作った方から食べてみる。


 まあ、食べると美味いんだよ。


 肉汁も出て、ホロッとして。


 だけどなぁ、恵実。お前に勝ってほしいんだよ、父である俺としては……。


 続いて、水戸さんの方を食べる。


 やはりな……水戸さんのハンバーグが、爆発的にバカうまなんだよ。


 見ろ、紗知の手が止まらなくなって、普段はしないおかわりをしている。


 恵実は呆然とし、水戸さんは平然としている。


 洗濯は乾いて畳むまでを見たかったが、まだ乾かないようなので、掃除と料理で勝敗を決める。


「ちょっと待ってよ!! 最後までやらなきゃわからないじゃない!!」


 恵実は食い下がるが、3本勝負で、掃除と料理で水戸さんが2勝しているのだ。次やっても、水戸さんのストレートだろ。


 俺は、本当は汚い真似をしてでも恵実に勝たせてあげたかったが、いろんな講習を受けてきた(受けたのか?)家政婦さんには、やはり勝てなかったな。


 結果は一目瞭然だ。


「恵実、でも、よくやったよ。水戸さんのハンバーグと比べたら、確かに水戸さんの方が美味しかった。でも、恵実のも充分に美味しいよ」


 俺は労ったつもりだ。



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