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家政婦の水戸

第3章 水戸さんのお留守番

 紗知の部屋でも掃除してあげようか?


 紗知の部屋は2階。


 2階に上がるのは、ベランダで洗濯物を干すときだけ。個人の部屋に入ることは、許可無しでは許されない。


 したがって、入るわけにはいかない。


 階段の拭き掃除を、行うことにした。


『れ゚の゙ひよ`んて(バケツと雑巾は、洗面所の棚の下だったわね)』


 水戸さんが、バケツを取りにいこうとすると……


“ピーンポーン”


 インターホンの音だ。


 誰かきたのか?


 誰だろう?


『ま゙(はい)』


 玄関の扉を開けた。


 玄関の前には、紺のスーツを着た40代の髪の長い女性が立っていた。


『ま゙』


「え? いや、あの……私、STOOLS化粧品、営業担当の川屋乃華子(かわやのはなこ)と申します。こちらの奥様でいらっしゃいますか?」


 化粧品のセールス販売員だ。


 水戸さんは両手を前に出した。


『ゆ゚』


「は?」


『な"も~れ゙』


 聞き取れない言葉に、販売員は困惑していた。


「あ……では、奥様、ちょっとお試しになってはいかがですか? こちら、肌荒れにも優しい、“TOAD OIL”クリームです。奥様のように色が変わるほどの荒れた肌にも……」


 

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