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家政婦の水戸

第3章 水戸さんのお留守番

『も゚』


 右の頬にクリームをつけたまま、水戸さんは家に入っていった。


“プルルルル……プルルルル……”


 電話が鳴っている。


『……』


 出ようか出るまいか……。


 考えた挙げ句……出た。


『ま゙』


“ブツ!!”


 切れた。


 静かに受話器を戻した。


『ーー!!』 


 あることに気が付いた。


 眼球を戻していなかった。


 静かに押し込み、まばたきをする。


『む"』


 上手くおさまったようだ。


 水戸さんは、先ほどやろうとしていた、階段の拭き掃除をはじめた。


 上から1段ずつ、丁寧に拭いていく。


“カチャ”


 玄関の扉の音。


 紗知が帰ってきたのだろうか?


 振り向こうとすると、勢いよく階段を登ってくる。


 そして、いきなり肩をガッシリと掴まれた。


「ジッとしてろ」


 男の声だ。


「悪いが、今、警察に追われてんだ。匿ってくんねえかなぁ……黙ってくれれば痛い目合わなくてすむからよ……」


 水戸さんの目の前に、銀色に輝くものが、チラチラと見えた。



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