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家政婦の水戸

第3章 水戸さんのお留守番

 男は黒いキャップをかぶり、口をマスクで隠し、黒い長袖のシャツに、手には軍手、そして下はジーンズをはいていた。警察に追われていると言うことは、犯罪者のようだ。


「へへ……奥さん、いいケツしてんな……旦那だけじゃ、もったいねえだろ」


 男は水戸さんの尻を軍手をはめた手で、なで回す。


『カ゚ァ゙ーワ゚!』


 水戸さんは叫びながら、振り向いた。


 ちなみに「やめて下さーい」と言っている。


 青白い肌に、右目の周りに、赤茶色の汁が付着した顔が、男に迫る。


「うわあーーっ!!」


 男は水戸さんの顔を見るなり、激しく驚き、後退りした。


 だが、そこは階段の上。


 一歩下がるとバランスを崩し、ダダダダーッと、背中から落ちていった。


『お゙へ~(大丈夫ですか!?)』


 水戸さんは、一歩ずつ階段を下りる。


 男は苦痛な表情で、起き上がる。


「く……来るなぁ……」


 男は落とした果物ナイフを拾い上げる。


『め゚よれ゙お゙へ~(大丈夫ですか!? ケガはありませんか?)』


 水戸さんが、首をかしげながら、近付いてくる。



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