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家政婦の水戸

第4章 水戸さん怒る

 水戸さんは、携帯電話を取り出すと、リダイアルから番号を確かめて発信した。


『も゙み゙……ま゚』


 なにを話していたのか、電話を切ると、紗知に少しの間、出かけることを告げ、一度荷物を取りに上がった。


 和室に荷物を置いていたため、水戸さんは何気なく和室に入った。


 そこに、制服姿の恵実がいた。


 恵実は驚いた表情で、水戸さんを見た。


「なに、水戸さん……ビックリするじゃない……」


『ぬ゙』


 恵実の手には、黒い長財布があった。


「ま、水戸さんには関係ないし……」


 そう言うと、財布から2万ほど抜き出し、タンスの引き出しに、財布を戻した。


「私、晩御飯いらないから。じゃ」


 そう言い残し、水戸さんの前を通って、家を出ていった。


 水戸さんはただ、見送るしか出来なかった。


 自分はただの家政婦(の、つもり)。雇い主の家庭の事情には首を突っ込まない。


 水戸さんも、荷物を持って、家を出た。


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