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家政婦の水戸

第1章 家政婦、その名は水戸奈津子

「あの……水戸さんと、お呼びしてもよろしいですか?」


『け'ま゚』


 OKと受け止めていのだろうか?


 水戸さんが、なにかを指差している。


 サインペンだ。


 なにかを書くジェスチャーをしている。


 なるほど、筆談か。


 俺は使ってないノートと、サインペンを渡した。

 なにを伝えたい?


 水戸さんはペンを走らせる。


 書き終えたのか、ペンにキャップをはめ、ノートをこちらにむけた。


「いや、直線、グルグル、波波、点々、ガチャガチャで、なに書いたか、わからんわっ!!」


 こちらの言うことは、わかるようだ。


 まあ、スピードラーニングやってるつもりで接すれば、やがて会話もできるだろう。


 紗知が、俺の腕を肘でついてくる。


「なんだ、紗知」


「お父さんよかったね。新しいお母さん候補」


 本気でやめなさい。


 あれと籍を入れるつもりはないし、そもそも本籍があるのかどうかも疑わしい。


 て、言うか紗知。


 お前はあれを新しいお母さんとして受け入れられるのか?


 すごい心臓してるなお前。



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