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家政婦の水戸

第4章 水戸さん怒る

 すると、ふてくされていた水戸さんが動いた。


『はう゚す゚(かえりましょう)』


「はぁ? 紗知がいなきゃわかんないんですけど……」


「おい、さっきからなんなんだよ、こいつら」と赤髪が前に出た。


「碇谷(いかりや)さん、こいつ、うちの家政婦なんです」


「家政婦!? へぇ〜、恵実ん家、家政婦雇ってんだ……さすが、金持ちだねぇ……で、その家政婦さんが、あたいらになんの用だい?」


 碇谷という女は、水戸さんに睨みをきかせる。


『……り゚』


「っ!!」


 なぜか、碇谷はたじろいだ。


「め……恵実。こいつ、本当に家政婦か?」


「うん……うちに来て、いろいろしてくれてる」


「あ、あいつの鼻から、なにか出てないか?」


 よく見ると、ハエだった。


 中に一匹、隠れていたようだ。


 碇谷は、恵実の腕を引いた。


「おい、戻ろうぜ。こいつ、やべぇよ」


 二人は部屋に戻った。


 水戸さんは、ゆっくりと後を追う。



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