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家政婦の水戸

第6章 水戸さん?

『あの、取扱説明書はお持ちですか?』


「いや、無いですね」


『それでしたら、開発部にお繋ぎいたしますので、担当者にご相談いただきますよう……』


 嫌な予感がしたので、電話を切った。


 いや、俺は家政婦の扱いを聞きたいだけだよね?


 電気製品の不具合を聞いてるんじゃないよね?


 そもそもMitoさんの、マニュアルなんてあるのか?


「あのさMitoさん、あなたのマニュアルってないのかな?」


 Mitoさんは、カバンに手を入れた。


 人の言葉を理解して動くのは、すごいよな。人工知能ってやつか?


 ただ、Mitoさんが出したマニュアルが……。


「薄いな。ファミコンソフトのマニュアル並みに薄い」


 俺は後ろのページによくある「故障かな?」と思った場合の対処法をめくった。


 故障はしていないと思うが、このページを見れば、だいたいはわかる。


“動かなくなった場合”


「なになに……充電は切れてませんか……充電式!? 電源は入ってるか……電源あるの? これ、家政婦じゃなく電化製品だよね!?」


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