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家政婦の水戸

第1章 家政婦、その名は水戸奈津子

 紹介所の責任者の名前が「富蘭賢(ふらんけん)」て、また凄い名前が現れたもんだ。


 以前、申し込みに行った時は、この方とは会ってないな。


 まあ、名前だけで躊躇するが、名字が「腐乱」でなくてホッとしている。


 俺はとりあえず、紹介所に電話した。


『はい、栗壱屋家政婦紹介所、家政婦担当の布灰(ふはい)です』


「あ、あの私、そちらで家政婦さんをお願いした山野って言う者ですがね」


『はい、お世話になっております』


「あのね、紹介していただいた家政婦さんなんだけど……言葉が通じないと言うか、なにを言ってるかわからないんだよね」


『あ、そうですか、ちょっとお待ち下さい。担当の者と代わります』


 あんたが担当じゃないのか?


 さっき、家政婦担当って言ったよね?


 しかし、この待ってる間のメロディが、鬱陶しいな。


『はい、代わりました。担当、五板井(ごいたい)と申します』


 出たか。


「あ、あのですね、今日来てもらった、水戸さんって方なんですがね」


『水戸さん、あ、はいはい。じゃ、担当の者と代わりますね』


 お前じゃなかったのか!? なにしに出てきた!?


 何人いるんだよ担当が。


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