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家政婦の水戸

第1章 家政婦、その名は水戸奈津子

『お電話代わりました。水戸奈津子担当の鹿羽(しかばね)と申します』


「あのねぇ、その水戸さんですけどねぇ。こっちの言うことはわかるみたいですけど、水戸さんがなにを言ってるかわからないんですよ。それってどうにかなりません?」


『あ、そちらでしたら、水戸さん翻訳担当に代わりまして……』


「ほ……翻訳担当っ!?」


 なんのたらい回しを受けているんだ?


 水戸さんってなんなんだ?


『お電話代わりました。翻訳担当の奈木殻(なきがら)です』


「あのね、水戸さんの言葉がわからないんですが」


『では、発声担当の』


「もういいわっ!!」


 電話を切った。


 俺は短気だ。


 イライラする。


 水戸さんが出てきた。


 上下、ブルーのジャージ姿に、白いエプロンをつけている。


 さぁ、困った。取扱説明書が無い状態で、電子機器扱うようなものだ。


 せめて、水戸さんのマニュアルがほしい。


『な゙に゚がた'べた゚い"でずか?』


「っ!!」


 ハッキリとは、わからなかったが、なんとなくわかったような気がする。耳がなれたか?



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