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家政婦の水戸

第7章 郷東さん

 俺はなにと戦っているんだろう……。


 そもそも、前のやつ、こいつじゃないよな。


 似てるけど、違うよな?


『ヴゥイーーン、ヴゥイーーン』


 突然、こいつが唸り出した。


 目がチカチカと点滅している。


 なんだこれ? なにがはじまる?


 見ていた方がいいのか、逃げた方がいいのか……。


『グゥイーーー』


 機械音と共に、胸が観音開きのように開き、中央に緑色の強い光が、丸くグルグルと渦巻いている。


 時折両サイドから、バチバチッと、小さな稲妻が走る。


 これは……








 絶対、逃げろだな。


 だが、後ろを向いて逃げるのが怖い。


 間違いなく、アレが飛んでくるよね。


 走って逃げ切れる可能性、まず無いと思うぞ。


 見ると、その渦は大きくなり、徐々に赤みを増している。


 ちょっと待て、誰を相手にパワーアップしている?


 確かに俺はデカイ包丁で、あんたを切りつけようとしたよ。


 だが、あんたは傷ひとつついてないじゃないかっ!!


 こっちは、刃こぼれた包丁持ってる生身の人間だぞ。



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