ねぇってば
第1章 出会い
「あのー」
次に俺が話しかけられたのは帰り際
人気が全くないとこに彼女はいた
「なんですか?」
特に何をしているというわけでもなさそうだった
手に何かを持っていることもなければ
何かを考えている様子もない
「用、ないんならほっといてください」
散々の言われようだ
「用、あります」
特に何も無いくせに何言っちゃってんだ
「俺、仲良くなりたいです」
「誰とですか?」
「もちろん、しゅうかちゃんとです」
「らいは寂しい人じゃないです」
ん?今なんて言った?
らい?え?
「らいって、」
「らいは自分のことらいって呼びます」
「それはなんでですか?」
「らいるって名前になりたかったからです」
なりたかった名前、かぁ
そんなの考えたこともなかったな
俺智じゃなかったらなにがいいかな。
「なんか変ですか?」
「いやっ、素敵なことだと思います」
素敵なことってなんだよ俺
「大野さんはなんでらいに話しかけますか?」
「そ、それは…気になるからです」
「おとうの知り合いだからですか?」
「違います、あなただからです」
言葉を放った瞬間
ずっと逸らされていた目が俺を捉えてくれた