ねぇってば
第9章 存在
「らいる…
俺じゃダメですか
抱きしめるのも、褒めるのも
一緒に喜ぶのも、俺じゃダメですか」
「……っん」
らいるはゆっくり俺の胸に頭を埋めてきた
しっかりと背中に腕を回し
らいるよりもずっと大きな手で
頭をポンポンとしてあげる
「よく頑張ったね…」
小さな手が俺の背中に回り
大きな声を上げながら
今まで貯めてきた分の涙をひたすらに流していた
「あぁ…まただ……」
背中に回されたはずの手の感覚がない
胸に当てられていた頭
びしょびしょになったはずの俺のTシャツ
次第に左右の目で見える世界が違ってくる…
あぁ、また同じ夢を見ていた