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ヒーローだから

第3章 記憶は探るもんじゃない

竜「あぁ、顔覚えてねぇ?」
昂「晶の?」
竜「うん」
昂「いや…あ、」

何かを思い出したようにピタっと動作が止まった。
これは期待出来そうだ!

竜「なになに!」
昂「前に部屋片付けてたら小学校のアルバムあったような」
竜「マジで?!」
昂「多分な」
竜「今日帰りにお前んち行ってもいい?!」
昂「おう。俺が部活終わってからな!達哉はどうする?」
達「あー…。俺はいいや」

ん?
達哉の様子がおかしい。
あ、自分が役立たずで気にしてんのかな?
こういうときはそっとしといてやろう。

昂「分かった。じゃあ放課後な」
竜「おう!」

楽しみだな。
どんな顔してんだろう。
俺はわくわくして自分の席に戻った。

ー放課後in教室

達「じゃ、俺帰るわ」
竜「本当に来ねーの?」
達「やることあるからな」
竜「ふーん?じゃあな!」
達「おう」

ひらひらと手を振って、達哉と別れた。
俺は体育館へ向かった。

達哉今日全然元気なかったな。
そんなに気にしなくても使い物にならないことぐらい分かったって。
朝は別に普通だったよな?
アルバムの話?
さっぱり分からねぇ。
ま、明日には治ってるさ。

俺は体育館前に体育座りして、昂汰を待つことにした。
あー、何かねむ…。
まだ部活終わらないよな、寝よ。

ー…

昂「おいっ!!」
竜「ん…おぉ、おはよう」
昂「おはよう。ってちげーよ!全然起きなかったんだからなお前!」

本当に眠れるなんて流石俺。

竜「こーたの部屋?てかベッド!運んだのそのほっそい体で!」
昂「俺は力はあんだよ!先輩にどれだけ誤解されたか…。あと言うことがあるだろ」
竜「おう、ありがとう!」
昂「あ、お前が寝てる間にアルバム見つけたぜ」

ほら、とそれを手渡された。

竜「おおー!さすがこーた君!大好き!」
昂「はいはい。晶いるか?」
竜「探す!」

ペラッと1枚目をめくった。

竜「皆ぴちぴちですな」
昂「うわ、お前こんなに天使みてーな顔してたのに…どうやったらそんな濁るんだ?!」
竜「人間皆歳を重ねるごとに濁っていくんだよ!つーか俺はまだ天使だ!」
昂「あ、これじゃね?晶って」

『天野晶』と表記されていた上の写真に目をやった。
俺達は言葉を失った。

昂「…女?」
竜「え、でもあいつは男だった気が」

でもこの写真を見るとその記憶の説得力もなくなる。

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