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ご主人様は突然に

第7章 《未定》

~カズ side~



クールな男前の塩谷が

ここまで分かりやすく動揺するのは

意外だった。



フラフラと後ずさると

腰に巻いたバスタオルが

はらりと床に落ちた。



おい、落とすな。ブツを見せるな。



「やだぁ……」



女性は照れながらも

塩谷のブツをガン見している。



ははは……



「うおっ!!」



そして俺を押しのけて

ポイッと靴を脱ぎ捨てると

塩谷を床に押し倒して馬乗りに。



あ……、そういう関係?



助けるべきか、見守るべきか

迷っていると

塩谷が切実な目を俺に向ける。



「緒方ーッ!助けてくれ!!」


「おー……」



そちらへ近づくと

女性にギロッと睨まれた。



獣に睨まれた小動物のような気分だ。



ごめん、塩谷。俺には無理だ……



後ずさる俺の姿を目の当たりにして



「恩を仇で返すのかー!!?」



塩谷の断末魔が響いた。



そんなつもりはないけど

仕方ないこともあるんだよ。



そう思いながら

ふと玄関のほうに目を向けて

次は俺が後ずさる番だった。



「え……、なんで……?!」



サングラスをかけた強面の人物が

俺を見てにやりと笑う。



「カズ、みーっけ!」


「お、お義父さん……」



一度見たら忘れない

いや忘れられないマナカの父が

玄関のドアに寄りかかっていた。



「どうしてここが……」


「俺を誰だと思ってんだ?
お前を見つけるくらい朝飯前なんだよ。
今回はちと、手間取ったけどな」


「すみません……」



いろんな想いを込めて謝ると

お義父さんはため息を吐いた。



「それは¨なにに¨謝ってんだ?」


「それは……その……」


「とりあえず、今日仕事終わったら
ウチに来い。お前の口から話を聞きたい」



有無を言わせない口調で



「……分かりました」



覚悟を決めるしかなかった。



「何時に終わるんだ?」


「何事もなければ、18時には終わります」


「その頃、マサキを迎えに行かせる。
……襲われてるそこのダチは大事にしろよ。
じゃーな」



お義父さんはあっさりと帰って行く。



振り返れば塩谷は女性からフェラされて

気持ちよさげに眉を寄せていた。


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