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ご主人様は突然に

第7章 《未定》

~カズ side~



「―――それで?
自分の子じゃないという根拠は
なにかあるのか?」



お義母さんよりは冷静なお義父さんが

声を小さくして尋ねてきた。



どうやら、完璧に俺の事を

信じてないわけではないようだ。



……ちゃんと話さなきゃな。



「実は……その……マナカさんとは
しばらく、夫婦の営みがなくて……」



お義父さんの思いに応えるように

マナカとの事を吐き出す。



「そうか。……なにが原因だ?」


「お互いにそれどころじゃなかった
ってのが始まりだったと思います。
俺は仕事ばかりして
マナカはセンや家の事をこなす。
何度かそういう雰囲気になっても
マナカが拒否するか
俺のが元気がないって事が続き
いつの間にか必要最低限の挨拶しか
しなくなっていました。
でもマナカの事は愛してて
気持ちがなくなったのではなく
¨疲れてるから¨と内心で
言い訳を繰り返してきました。

そんな日々に慣れてきた頃
たまたまマナカが入浴中に
間違えて浴室の扉を開けてしまって
マナカのその……身体を
目にしたわけなんですが……
一切、反応しなかったんです」


「反応しなかった?」


「い……言いにくいんですが………」


「妻だけEDってやつだろ?」



思わず口ごもる俺の代わりに

カオルがあっさりと言い放つ。



「おっ、おまっ………?!」



うろたえる俺とは対照的に

カオルはにやついている。



「マナカが酔って叫んでた」


「うわ………」


「どういう事だ?」



お義父さんが俺とカオルの顔を

交互に見て首をかしげる。



「つまり、カズは
マナカの裸を見ても起たなかったって事。
そういうのを妻だけEDって
言うらしいよ」


「……そうなのか?カズ」


「はい……」



俺の返事を聞いて

お義父さんはさらに首をかしげる。



「でもそれなら起たねぇのは
¨妻だけ¨なんだろ?
他の女には問題ないんじゃねぇのか?」


「確かに問題ないと思います。
でも……マナカを裏切るような事は
二度としないと誓いましたから……」



一度浮気をした俺の言葉なんて

お義父さん達には

響かないかもしれないけど



今言える根拠はこれが精一杯だ。


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