ご主人様は突然に
第1章 戦力外通告!?
ひとしきり泣いてから
ゆっくりお風呂に入った
そんなの久しぶりで
入浴剤をお湯に入れたりして
かなりリラックスできたと思う。
お風呂を済ませてリビングに向かうと
当たり前のように
兄とナナコがソファーに座っていて
私に気づいたナナコが近づいてきた
「……いらっしゃい。
お迎え七時半前じゃなかったっけ?」
「そのつもりだったけど……
マーくんがセンに会いたいってさ」
ソファーへ振り返るナナコにつられて
そちらへ目を向けると
兄はセンと仲良く遊んでいた
お兄ちゃん……相変わらずだなぁ。
兄のマサキは甥っ子であるセンを
自分の子のように溺愛していて
一度捕まえるとなかなか離さない
「マーくんはほっといて……
あんた相変わらず肌キレイね~」
ナナコが私の顔をペタペタと触る
会うたびにナナコは顔を触るから
もう慣れっこだけど
「……ナナコも相変わらずだね」
「それ褒めてるのよね?
ていうか、今日なに着てくの?」
「え。別に普通の……」
「だーめっ!オシャレしなきゃ。
とりあえず先に美容院行くわよ」
「えぇ!美容院?!
そこまでしなくても……」
「本当に、あんた結婚してから
美に関して無頓着すぎっ!
結婚しても子供産んでも女は女なのよ。
黙ってついてきなさいっ」
「えー……まじぃー……?」
ズルズルと引きずられながら
強制的に美容院に連れて行かれた。
*****
「うん、イイ感じね」
ヘアメイクを施された私を見て
ナナコは満足げに頷く
「美容院まじ疲れる……」
美容院が好きじゃない私は
すでに疲労感ハンパない
「あれ、いい時間になってる。
次は服よ服。行くわよっ!」
「えー?服は買わなくても
キレイめなの持ってるよー?」
私の腕を引いて
ズンズンと足を進めるナナコは
私の話なんか無視してて
気づけばナナコの行きつけの店に
到着していた
「キレイめって言っても
パンツコーデはだめよ」
「……ちゃんと聞いてるじゃん」
「当たり前でしょ。フフフッ」
ナナコが意味ありげに笑う。
その顔を見つめながら
なんとなく、嫌な予感を感じていた。