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ご主人様は突然に

第3章 お持ち帰りですか?




「ったく……世話かけやがって。

おら、靴履け。帰るぞ」



靴を履かせるために一度

段差があるところにマナカを下ろすと


ワンピースのくせに大股開いて

ズルズルと壁を背中で滑りやがって

靴を履かせにくくて仕方なかった。



女物の靴まじめんどくせー!



と思いながらも無事履かせ終えると



「クソカオルー。
パンツ見てんなよー?金取るぞー」



そう言ってマナカは笑う



意識がハッキリしてるのか

してないのか分かんねぇけど

変なところで抜け目ない



「見てねぇよ。ほら掴まれ」


「無理。ダルい。眠い」


「あー……分かったから手ぇ貸せ!」



手を引っ張り、首に回す



勢いよく持ち上げた身体を

しっかり支えながら階段を降りてると

スゥーという寝息が耳に届いた



……チッ。

寝やがった。



舌打ちをしながら

事務所のドアを開けると

店長のタカが振り返る



「お疲れ。
わりぃけど、今日もうあがらせて」


「どうしたー……って誰その子」


「同級生。潰れたから送る」


「……へぇ。他に同級生いるのに
お前が送ってくわけ?」



タカがにやりと笑う


言いたいことは分かる



「酔うと手ぇつけられねぇから
俺が面倒見てやるしかねぇんだよ。
……旦那と別居中だしな」


「ふーん。
めんどくさがりのお前が珍しいこと。
つーか、人妻かよっ」



俺の顔を見て意外そうに苦笑しながら

タカはタバコに火をつけた



そして一息ついてから

にこっと営業スマイルを浮かべる



「まぁいいよ、あがって。
代わりにお前明日ラストまでな」


「……了解。じゃ帰るわ」


「おう、お疲れ。気ぃつけてなー」



事務所を出て

他の従業員にも挨拶して店を出た



店から家まで徒歩三分

マナカの実家までは徒歩十分



……俺ん家でいーだろ。



迷わず自宅に向かう



下心はない

と言ったら嘘になるが


酔い潰れた女をどうにかするほど

女に不自由はしてねぇし

男として落ちぶれてもねぇ


今の俺からしたら

下心より¨楽さ¨が優先だ



おんぶしたまま徒歩十分とか

ありえねぇだろ。



そんなことを考えてる間に

自宅に到着していた。


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