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ご主人様は突然に

第3章 お持ち帰りですか?




「やらしい首になってるだろ?」



呆然と鏡に映る自分の姿を見つめていると

いつの間にかカオルが後ろに立っていた



「こんな¨愛し合った痕¨周りが見たら
¨抱かれたんだな¨って思うだろうな」


「なっ………っ!」



振り返ろうとした私を

カオルが後ろから抱きしめて

鏡越しににやっと笑う



「お前がなにもしてないって言っても
たぶん無駄だろうな」


「そんなことっ……」


「昨日お前が俺に背負われて店を出たの
あの場にいた全員が見てるからな。
お前が俺に¨お持ち帰りされた¨って
何人かは思ってんじゃね?」



う、うそ……



鏡に映る私の顔は蒼白になってて



カズから離婚届を渡された時も

こんな顔してたのかな……

と一瞬だけ数日前のことを考えていた



カズ……



「や……やだっ。そんなのっ……
そんな誤解されるの絶対いや!!」


「……誤解されたくねぇなら
俺がなんとかしてやろうか?」


「なんとか?!
元はと言えばあんたが
¨こんなの¨つけるからでしょ!?
なんとかしなさいよっ!!」


「じゃーなんとかしてやるから
明日からお前、毎日ここに来い」


「はあ?!」



意味分かんない。


なにが言いたいのコイツ。



鏡の中のカオルは真面目な顔をする



「お前いま専業主婦だろ。
もし離婚になったら
生活はどうするわけ?仕事は?」


「え……」


「実家に世話になるにしても
子供のこと考えたら金がいるだろ。

カズは養育費くらい払うだろうけど
小林と暮らしだしたら
お前たちの生活費まで工面すんのは
難しいだろうな。
貰えてもせいぜい数ヶ月だろ」


「うっ……」


「それに高卒でなんも資格持ってねぇ
働いた経験もねぇ子持ちのヤツが
生活できるだけの金を稼ぐなんて
そうとう大変だぞ。分かってんの?

まぁ未経験・無資格でも社員募集って
とこは結構あるけどな……」



た、確かに。


……痛いとこ突かれた。



「俺が雇ってやる」


「……?……」



はて?


コイツはなにを言ってるのか。



小首をかしげていると



「お前のご主人様になってやるよ」



声のトーンを落としたカオルは

そう言って私の耳たぶをペロッと舐めた


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