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ご主人様は突然に

第4章 佐藤の憂鬱




―――数時間前





マナカの連絡先をゲットして

幸せを噛みしめていた佐藤は

ふと動きを止めて私を見た。



「そういや、落合って
岩熊さんのこと……好きなのかな?」


「えっなんで?!」


「いや、岩熊さんへの態度がなんか……」


「べっ別に普通でしょっ。
介抱するためにマナカを
自分ん家に連れてっただけで
別にお持ち帰りとかじゃないよっ!」


「え……」


「ナナコッ!」


「痛ッ!………あっ」



アヤに頭を叩かれて

自分の失言に気づく



「……岩熊さん、落合んとこいるの?」



佐藤の顔が険しくなっていた



「いや……、その……」



しどろもどろになる私を見限って

佐藤はアヤに顔を向けた



「内野。どうなの?」


アヤがため息を吐く



「そだね、状況だけで言えば
お持ち帰りされてることになるよ」


「まじかよ……」



佐藤は頭を垂れたかと思えば

すぐさまアヤに詰め寄る



「内野ッ!落合の連絡先教えて!」


「あー、いま私知らないんよね。
ごめんけどナナコに聞いて」


「赤坂ッ!」



詰め寄られてもクールなアヤから

私に顔を向けて佐藤は声を張った



それほどマナカが心配なのだろう



爽やかくんだと思ってたのに

意外と熱い男だ



「教えたら……どうするわけ?」


「そりゃ電話するよ」


「いや……さっき電話したら
マナカ寝てたし大丈夫だよ」


「えっ電話したの?」


「あっうん。カオルにね。
手は出さないから心配すんなって
言ってたし大丈夫でしょ……」


「男の¨手を出さない¨ほど
信用できないものはないよ……

とにかく、落合と話したいから頼むよ!」


「うーん……」



私が電話したばかりなのに

佐藤が電話したら

さすがにカオルも怒るかもしれない



それが怖くて

カオルの連絡先を佐藤に教えるのを

ためらっていた。



「さっき協力するって言ったよな。
落合から赤坂たちが責められないように
配慮はするから頼む!!」



佐藤が深々と頭を下げる



「あー……」



切実に頼み込まれた私は

気持ちが揺らぐのを感じていた。


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