ご主人様は突然に
第4章 佐藤の憂鬱
落合はポケットから携帯を取り出すと
黙って操作しながら、にやついていた。
「な、なんだよ?」
しびれを切らせて声をかけると
落合はなにかの写真をかざしてきた
それは俺が岩熊さんを抱きしめてるもので
画面をスライドすると
キスしてるところから指の挿入までの
一部始終が写真におさめられていた
コイツ……最初から……!
「これ写真だけ見るとお前が無理やり
襲ってるようにしか見えねぇよな?」
ドキッとした。
なにが、言いたい?
「お前、いいとこ勤めてんだろ。
会社の人間がこれ見たらどう思うかな~
こんなのどう見ても
公園で女を犯そうとしてるとこだろ?」
落合は鋭い目つきで俺を見る
「なに言ってんの……」
岩熊さんが困惑した表情で
俺と落合を見比べる
ああ……、脅しか。
そういえば
昔からコイツは¨こう¨だった。
「今日は諦めて帰るってんなら
この写真は消してやる。どうする?」
「……分かったよ」
俺は渋々と返事をして
岩熊さんのナカから指を引き抜いた
「んっ……」
岩熊さんの身体がピクッと跳ねる
手のひら全体が
いやらしい蜜でヌルヌルになってて
正直、名残惜しいけど……
「正しい選択だな。
もし会社クビになったらコイツのこと
守りたくても守ってやれねぇもんな」
落合の言うとおりだ
でも会社にバラされることよりも
守ってあげられないって理由で
岩熊さんに会えなくなる方がツライ
「うるせぇよ。写真はやく消せよ」
「はいはい。………ほら確認しろよ」
携帯を渡されて確認してみると
きちんと削除されていた
コイツこういうところは
筋が通ってるんだよな……
「確かに。で、さっき言ってた
ご主人様ってなんなわけ?」
携帯を返しながら尋ねてみると
「きゃっ!……ちょっと……」
落合はベンチに近づき
岩熊さんを抱え起こした
「……知りてぇの?」
含み笑いを浮かべる落合は
男の俺から見ても
ゾクッとするほど色っぽくて
¨ライバル¨だと認識するほどに
俺のモノは縮こまっていった。