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「うらやま」

第1章 裏山の記憶

ただ、少し不思議な記憶がある・・・・



おぼろげながらに記憶がある・・・・



なにか目に映った光景・・・・



それは川で誰かが倒れている光景・・・・



ボクは沢の上のほうから見下ろしている



でも、



そんなわけない



見ることは無いんだから!




ボクはその日は家族と一緒に大阪の親戚の家に行ってたんだから!




その光景はもしかしたら映画やドラマのワンシーンの記憶なのかもしれない



オトナになった今となっては、それが現実かどうか自分でもわからない




・・・・・本当にあの事故はあったのか?



・・・・・そもそもアキちゃんは本当に居たのか?



こどもの頃の記憶・・・・それが現実なのか、テレビで見た光景なのか






小学生高学年になった頃、



ぼくらはもうあまり裏山には行かなくなっていた



たまに探検と称して遊びに行ったりはしてたけど・・・・



小さいときはゲイラカイトって目玉の絵のついた凧上げが流行ったり、ベーゴマが流行ったり、牛乳瓶のフタをぱちんとめくる遊び、コカ・コーラのヨーヨーなんかが流行ったけど


高学年のときに「ガンプラ」が大流行して、ぼくらはもう裏山に興味を示さなくなっていた



ガンダムのテレビ放送は終わってすぐに再放送が始まっていて、ボクはそろばん教室もサボってガンダムを見ていた


新聞では「ガンダムが始まると町からこどもが消えた!」なんて書かれてた


当時はガンダムのプラモデルを買う行列がどこにでも出来ていて、エスカレーター事故がテレビで取り上げられて以来、急速にガンプラブームが到来した


また当時は任天堂の「ゲームウォッチ」が大流行してた頃で、裏山に探検隊ごっこなんてこどもじみたことはみんなしなくなった



ボクはあいかわらずアパートで暮らしていたけど、すっかりアキちゃんのことは忘れてしまっていた




中学生になった



校区の関係で2つの小学校の地域を1つの中学校に通うことになった


クラスの半分は知らないヤツらだ


そんな新しい友達たちと流行ったのが「ブラックバス釣り」だった


昔は釣りと言えば「暗い」「もの静かな」「おじさん」の趣味みたいなイメージだったのが、


「ルアー」、「サングラス」、「キャッチ&リリース」といった新しいスポーツになった

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