
桜 舞う
第2章 おまけ
「平坂にカイロ断られた時もだが、酒々井のマイナス思考は考えものだ」
どうせ『私の使ったカイロはいらない』とか考えていたんだろう。
「こんだけ寒けりゃ平坂だってカイロぐらい買うだろう」
それ以上に酒々井が落ちてるのは場所取りの事。それも、彼女の思考は飛んでいる。単に毎年自分に課せられているという事より、今まで上司が気付いていなかった事に落ちている。自分を存在感ないとか役立たずとか思っていそうだ。
「俺は昨日は直帰で、今日直行。さっき社に戻って来たんだ。去年は出張中。この時期、忙しくてほとんど出社して来ないのはお前も知ってるだろう」
俺の言葉に平坂が黙り混む。
「じゃなきゃこんな時間まで気付かない訳がない」
真っ直ぐに見上げてくる瞳。
新人の頃上司に笑うなと言われて以来、社内では目が合っても逸らされる事が多くなった。部下が付くようになって鉄仮面だの鬼だの噂される今、俺と正面から目を合わせて逃げないのは酒々井ぐらいだ。
初めはそれを珍しく思って、覚えも良く正確に仕事をこなす能力と同一人物かと疑う程ネガティブな思考とのギャップに、自信を持たせてやりたいと思った。
どうせ『私の使ったカイロはいらない』とか考えていたんだろう。
「こんだけ寒けりゃ平坂だってカイロぐらい買うだろう」
それ以上に酒々井が落ちてるのは場所取りの事。それも、彼女の思考は飛んでいる。単に毎年自分に課せられているという事より、今まで上司が気付いていなかった事に落ちている。自分を存在感ないとか役立たずとか思っていそうだ。
「俺は昨日は直帰で、今日直行。さっき社に戻って来たんだ。去年は出張中。この時期、忙しくてほとんど出社して来ないのはお前も知ってるだろう」
俺の言葉に平坂が黙り混む。
「じゃなきゃこんな時間まで気付かない訳がない」
真っ直ぐに見上げてくる瞳。
新人の頃上司に笑うなと言われて以来、社内では目が合っても逸らされる事が多くなった。部下が付くようになって鉄仮面だの鬼だの噂される今、俺と正面から目を合わせて逃げないのは酒々井ぐらいだ。
初めはそれを珍しく思って、覚えも良く正確に仕事をこなす能力と同一人物かと疑う程ネガティブな思考とのギャップに、自信を持たせてやりたいと思った。
