
桜 舞う
第2章 おまけ
生姜入りのミルクティーの缶と自分の缶コーヒーとを手に、帰りはエレベーターに乗った。幸いな事に他に人はいない。
階段を黙々と降りた事で、ソワソワと妙に浮いていた気持ちは落ち着いていた。
会議室の扉を軽くノックして入る。顔を上げた酒々井の視線が俺を通り抜けて手元で止まる。ゆっくり彼女に歩み寄り
「飲んで身体暖めろ」
缶を差し出すと、酒々井の瞳が戸惑う様に揺れた。遠慮されるかもしれないとも思ったが、軽く頭を下げて手を伸ばされた。
「……あ、ありがとうございます」
缶を譲り渡して手近にあった椅子を引き寄せ、斜め向かいに腰掛ける。
プルタブを開けてコーヒーの香りを楽しんで。自然と酒々井の仕草を目で追っていた。
始めは不思議そうにミルクティーの缶を眺めていたが、やがて同じ様にプルタブを開け、ふわりと口元を綻ばせた。息を吹き掛け温度を確かめるようにゆっくり飲んで。吐く息と共に緩んだ緊張。
うん、一階まで降りて良かった。
実に嬉しそうに微笑む酒々井につられ、クスリと笑みが溢れた。
ピクリと肩を揺らし、酒々井の頬が赤くなる。恐る恐る顔を上げ、俺を見た彼女の動きが固まった。
あぁ、忘れてた……
階段を黙々と降りた事で、ソワソワと妙に浮いていた気持ちは落ち着いていた。
会議室の扉を軽くノックして入る。顔を上げた酒々井の視線が俺を通り抜けて手元で止まる。ゆっくり彼女に歩み寄り
「飲んで身体暖めろ」
缶を差し出すと、酒々井の瞳が戸惑う様に揺れた。遠慮されるかもしれないとも思ったが、軽く頭を下げて手を伸ばされた。
「……あ、ありがとうございます」
缶を譲り渡して手近にあった椅子を引き寄せ、斜め向かいに腰掛ける。
プルタブを開けてコーヒーの香りを楽しんで。自然と酒々井の仕草を目で追っていた。
始めは不思議そうにミルクティーの缶を眺めていたが、やがて同じ様にプルタブを開け、ふわりと口元を綻ばせた。息を吹き掛け温度を確かめるようにゆっくり飲んで。吐く息と共に緩んだ緊張。
うん、一階まで降りて良かった。
実に嬉しそうに微笑む酒々井につられ、クスリと笑みが溢れた。
ピクリと肩を揺らし、酒々井の頬が赤くなる。恐る恐る顔を上げ、俺を見た彼女の動きが固まった。
あぁ、忘れてた……
