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桜 舞う

第2章 おまけ

それは何故か……

「そうか。じゃあ頼む。あぁ、急がなくて良いぞ。ゆっくり飲んで身体暖めてから来い」
「は、はい」

都合よく解釈したい気持ちを頭の中から追い出して。酒々井のそばまで歩いて行くと、少し下から見上げられた。

「朝からありがとう」
「あ、い、いえ……」

礼を伝え、笑みを向けた俺に大きく目を見開く。
酒々井は見る間に頬を赤く染め、俺の視線から逃げるように俯いた。

……残念

さらに彼女に近付き、小さい頭を見下ろす。俯きがちな酒々井の頭は何度となく見てきたが、今日は何時もより愛しく見えて。気付けば頭を撫でていた。

あ、しまった
つい……

嫌がられるかと思いきや、酒々井の肩から力が抜ける。
気を許して貰えたようで、我慢しきれずに笑みが零れた。
恐る恐る見上げてくる大きな瞳にさっきの提案を確実なものにしたくなった。

「食事、希望はあるか?」

驚いたように瞬きを繰り返し小さく左右に首を振る。

「……い、いえ特に」

戸惑いを浮かべつつも、嫌がってる感じはない。

「酒は飲めたよな?」
「す、少しなら」

忘年会で山田と差しで飲んでおきながら何を言う。

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