テキストサイズ

君がいるから

第5章 休日

別に

遠距離でもなければ

別れるわけでもない。

それこそ

仕事でも会えるし

会おうと思えば毎日だって会えるのに



それだけ

この4日間は俺にとって

…智にとっても

濃密な時間だった。


またね、と車に乗り込んで、エンジンを掛ける。

「あ、翔ちゃん」

窓を閉めようとしたら

ふいに智に呼ばれた。

「どうし…」

最後まで、言葉は言えなかった。

…智がキスをしてきたから。


触れるだけの唇が、すぐに離れて

「ありがとね!」

智はクルッと踵を返して走って行った。


残された俺は

ただ、呆然として

…その後に笑いが込み上げてきた。


本当、智にはかなわない。

どれだけ俺を惹き付けるんだろう。




幸せな気分を噛みしめて

休日は

幕を降ろした。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ