君がいるから
第6章 一緒に暮らそう
「先に…風呂行けよ。このままじゃマズイだろ」
「あ…うん。いいの?」
「いいから行けって」
雅紀は分かった、と頷くと
意識を手放している二宮を軽々と抱き上げて
「じゃ、お先に」
足早に風呂場へと向かった。
残った俺は、とりあえず簡単に智と自分を綺麗にしてから
部屋を片付けようと起き上がる。
雅紀のやつ…いつの間に?
今さっきまで、二人が絡み合ってた場所には
バスタオルが敷いてあって
床が汚れないようにしてあった。
用意が良いと言うべきか
気遣いと受けとるべきか
…いや、気遣いあればこんなとこでシないか
まあ、俺も人の事は言えないけど
なんだろ。この微妙な気持ち。
俺の社会人生活の
スタートを迎えたこの部屋の
最後の思い出が、コレ…
何か間違ってないか?
だけど
智が傍にいて
…雅紀と二宮がいて
これも、一つの幸せなのかな
思わず口元が緩むのを
抑える事もせず
俺はゴミ袋を広げて
片付けを始めた。
最後の、濃すぎる思い出を
…ありがとう