テキストサイズ

君と僕。

第11章 君と僕と未来の話

「次の人呼んで」

僕はそっと看護師の女性に声をかける。

「はいっ」

診察室の椅子に座り、カルテを開く。
そして僕はそっとため息をつく。

「時雨さん、病院は遊びに来る場所じゃないんですけど?」

横開きの扉からひょっこり顔を出したのは、恋人の時雨さんだ。

僕は医者となり、出会った頃の時雨さんより年上になってしまった。

「だって蓮君家じゃ白衣来てくれないんだもん」

これで診察という名目でうちの病院に来たのは今回で3回目。
研修医として病院に配属されてからと、医者として大学病院で働くようになってから2回。

「全く。お仕事はいいんですか?」

「社長の仕事午前で終わったから、午後有給ぶんどってきた!」

大丈夫なのかその会社...。
時雨さんは僕の呆れには触れずに嬉しそうに僕の前の椅子に座る。

「えへへ、俺の彼氏お医者さまぁ」

嬉しそうな顔して。
時雨さんは僕が医者になってから、少し子供っぽい一面も見せるようになってきた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ