4月は君のぬくもり
第3章 由衣の決断
沈黙の後。
「しょうがねーな。じゃあ部屋ん中で待ってて」
「えっいいの?」
「ああ。外で待ってられるよりかマシだから」
やった…!
「お邪魔しまーす♪」
うわっ。散らかってる…。ゴミ屋敷とまではいかないけど、ひどかった。
「適当に座ってテレビでも見てれば?」
しかしその前に、この部屋をなんとかしないと。
「ね、掃除道具どこ?先生片付けといてあげる」
「え、いいよそんな事しなくて」
「遠慮しなくていいのよ?私片付けるの得意だから」
この子の為に何かしてあげたかった。
「掃除機と雑巾はあっち」
「わかったわ」
「俺、ほんとに何時に帰ってこれるかわからないからね。腹減ったら戸棚の下にあるもんでも食べといて」
う、優しいじゃん。ちょっと感激…!
「ありがとう」
「じゃ」
そしてアルバイトへ行く彼を、私は笑顔で見送った。
「行ってらっしゃい、がんばってね」
津田君が着ると、何でもないパーカーやジーンズがすごくすてきに見えるから不思議。
「…行って来ます」
どこか照れくさそうだった。母親が出て行ってから、こんな風に誰かに見送られる事はなかったんじゃないかしら…。
さーてと、やりますか!!