4月は君のぬくもり
第3章 由衣の決断
バスを乗り継いで1時間弱。
私は津田君の住むアパートへやって来た。
階段を上がって部屋を探す。
「えっと、彼の部屋は……ここね。どうか、いてくれますように」
私はドアをノックした。
「…」
やっぱりもう行っちゃったか…と思った時
ドアが開いた。
目を丸くして私を見つめる津田君がいた。
「ど、どうしたの?先生」
「えへ家庭訪問に来ちゃいました〜!」
「はあ?そんなの聞いてない」
彼は迷惑そうな顔だったけど、私は努めて明るく振る舞った。
「そんなの担任の権限よ。ねっ、私津田君と少し話がしたいんだ」
「…俺もう出掛けるんだけど」
「あ、そうね。じゃあ戻ってくるまで、外で待ってる」
「あのねー先生。外で待つって言われても何時になるかわからないんだよ。話なら明日学校で聞くから、悪いけどもう帰って」
津田君が私を追い返そうとドアを閉めようとしたのを、私はすかさず片足を入れて阻止した。
「おいっ」
「だめ!今日じゃなきゃだめなのっ」
「…え」
私はとまどう彼を強く見つめた。