4月は君のぬくもり
第3章 由衣の決断
ガバッ…
「はっ!今何時!?」
私はいつの間にかテーブルに伏せて寝てしまっていた。
やだ…もう十二時すぎてるじゃない。もう帰らなくちゃ。母に怪しまれるわ。
私はタクシー会社に電話した。
津田君、いつもこんなに遅いのかしら?
いくらなんでも働きすぎよ…。
「っ」
私はふと思い出していた。
出掛ける際の彼が、一瞬ものすごく大人びて見えた事を。
初めて会った時も感じたけど、17才にしてあの雰囲気は、一体どこから出てくるのだろう……。
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十五分ほどしてノックの音がした。
『かもめタクシーです。お迎えに上がりましたー』
「はーい、今行きます」
私は部屋の明かりを消し、念のために津田君から預かっていた鍵をかけると、教えられた場所に隠した。