4月は君のぬくもり
第3章 由衣の決断
朝のホームルーム。
私は教室をざっと見渡す。
窓際の後ろから二番目の席は空席だった。
津田君、あれから何時に帰ったの?
あんなに遅いんだったら、そりゃ眠くて起きられないでしょう…。
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三時間目の終わった放課。私は次の授業に向かうため廊下を歩いていた。
すると、やっと登校して来た津田君を発見…!
「津田くーん!」
私は慌てて下駄箱にいる彼の元へ駆け寄った。
私を見るその瞳は、どことなくけだるそうで。
「ね、先生あなたが心配なのよ。こんなにたびたび遅刻していたら、成績にだって響くわ?」
「…わかってるよ」
彼はそっけなく言うと、さっさと上履きに履き替えて行こうとした。私はとっさに彼の前に回り、そして訊いた。
「どういうアルバイトなの?」
「…は?なんだっていいだろ」
「どうして言えないの?」
私は彼の目をじっと見つめた。
「…」
その時
『キーンコーンカーンコーン』
とチャイムが鳴った。
もう行かなきゃ。でもこのままじゃ…。
「コンビニでやってんの。これでいい?」
「えっ、そうなの」
教室へと急ぐ彼を、私は見つめるしかなかった。
だけど胸の中はもやもやしたままだった。