4月は君のぬくもり
第3章 由衣の決断
一週間後。
私は職員室で小テストのプリントを作っていた。
そこへ数学の浅川先生がきて、私は小声で話しかけられた。
「あの、堀江先生のクラスの津田なんですが」
ドキッとして浅川先生をじっと見た。
「は、はい!彼が何か?」
「実はゆうべ…うちの家内の誕生日だったんで、家族で夜ホテルへディナーに行ったんですよ 」
「まぁ、そうでしたか」
「そしたらそこに彼がいましてね。それも年上の女性と一緒で、親しげに食事をしていました」
「それは、ほんとですか?」
「ええ。だけど、どうも彼女にしては不自然に見えて…」
「…」
「実は他の職員も以前に目撃してるんです。
津田が夜遅く、繁華街で女性と腕を組んで歩いている姿を」
「何ですって…」
…どういう事なんだろう?
夜はコンビニのアルバイトで忙しいはずよ。
女性とデートしてる暇なんて、あるわけない。
あるわけ…
まさかね…
ふと頭によぎった考えを私は打ち消した。
けど、あの夜も遅くまで帰らなかった……。