4月は君のぬくもり
第5章 内緒の同居生活
ドクン、ドクンと鳴る心臓の音が、津田君にも伝わっているはずだ。
「私、こんなつもりで来たんじゃないわ!
ただ津田君の傍にいてあげたくて。それだけなのに……」
絶望的な気持ちになった…。
やっぱり私は浅はかだったのかな。
お姉ちゃんが心配したのも無理はない。
だけど…
彼はそれ以上の事を、私に何もしてこなかった。
やがて密着していた身体が離されると、私は力が抜けたようにその場にペタンと座り込んでしまった。
そして呼吸を整えると彼の方に振り返り、
キッと睨んだ。
すると彼は言った。
「先生来るの遅すぎっ。今日はどこにも行かず待っててやったのに」
「だからってこんなことするっ?」
「ふっ」
「…」
なぜだろう
津田君の目は、優しく笑っていた。