4月は君のぬくもり
第5章 内緒の同居生活
晶午side
休み時間。
俺の席へやってきたのは、安本幸二(ヤスモトコウジ)。
同じクラスになって、結構気が合うヤツだった。
俺の近くに座ると、顔を近づけてきて言った。
「なっ、牧村さんって可愛いよなー?」
「え、どの子?」
名前を言われても、俺はまだクラスの女子に誰がいるだとか、よくわかっていない。
とゆうか、あまり感心がなかった。
「ほら、あの髪の長いお姫様カットの色白の子」
俺は幸二の視線の先の、わいわい騒いでいる女子のグループに目をやった。
「ああ、わかった。で、お前告白すんの?」
「はあっ?そんな勇気あるかよ。もう彼氏いるかも知れないし」
「なんで、もっと自信持てよ」
「軽く言うな。オレはお前と違ってモテたことがないんだから」
「…」
俺はこの純情な幸二に思っていた。
半年ちょっとホストをしてきて、俺はいろんな女と出会った。
良いところも悪いところも、全て見てきたんだ。
だからかな…単純に誰かを好きになれるこいつがうらやましかった。
きっとこれが、普通の高校生の感覚なんだろう。
そしてそんな仕事を辞めさせようとした、
由衣の真心に
俺は
今やっと気づき始めていたんだ……。