4月は君のぬくもり
第1章 プロローグ
私は歩き出した彼についてゆき、横に並んだ。
そして時々彼を見上げた。
「…」
整った顔立ちに切れ長の目をしている。
まるで、韓流ドラマに出てくる俳優さんみたい。それほど彼はものすごくかっこいい人だった。
私は思わずどきどきしてしまう…。
すると彼も私をちらっと見るから、慌てて前を向いた。
何を話すわけでもなく、やがて地下鉄の入り口についた。
「送ってもらってありがとうございました」
私は丁寧に頭を下げた。
「いえいえ。それじゃあ気をつけて」
彼はニコッと私に微笑むと、また元の道を足早に戻って行く。
ぶっきらぼうだけど優しい人だったな。
その後ろ姿までも絵になるようだ…。
はっ、いけない!名前、連絡先聞かなきゃ。私ったら何ぼーっとしてたのよ〜。
「っ…」
だけど彼はすでにずいぶん先を歩いていて、もう追いかけられなかった。
そしてこの時の私はまだ彼が十七才の高校生で、次の日に劇的な再会を果たす事になるとは、夢にも思っていなかった。