4月は君のぬくもり
第5章 内緒の同居生活
たくさんの荷物を抱えて、私達はようやく夕方遅くに帰宅した。
ふぅー。
「すぐご飯つくるわね」
私は休む間もなく、エプロンをつけた。
晶午は居間でテレビを見始めた。
−−−−
しばらくすると、
「由衣来てっ!大変だよ!」
晶午が大声で私を呼んだ。
「どうしたの?」
「テレビ見てみなよ」
「えっ?」
晶午に言われるままそちらを見た私は、とても信じられなかった。
なんとそこには…
さっきまでいたショッピングモールで、ピアノを弾く私の姿が映し出されていたのだ。
「うそー!どういうことっ?」
私だけならまだしも、おそれている事は言うまでもなく……。
「うわ〜っ!」
晶午の声が部屋中に響いた。
それはニュース番組の中の、視聴者による動画投稿コーナーで、
【街で見かけたキラッと美人】
というものだった。
どうやらあの時、私を撮った誰かがテレビ局に送ったらしい。
私の横で腕組みをして眺めている晶午までも、ばっちり映ってしまっていた。
「どうしよう、これ誰かが見ていたら」
「どうしようもないだろう。まさかこんなことになるなんて…」