4月は君のぬくもり
第6章 恋のライバル
晶午side
連休明けの朝。
下駄箱にいた俺は、不意に声を掛けられた。
「津田君、おはよう」
振り向くとそこには、牧村えみが立っていた。
「…っ、おはよう」
えみと話すのは、これが初めてだった。
すると彼女は、カバンから布の包みを差し出し俺に言った。
「私、今日津田君にお弁当作ってきちゃった。食べてくれたら嬉しいな」
「えっ、俺に?」
「だって、津田君いつもパンばかりだもの」
周りには他に誰もいなかった。
「それは、ありがとう…」
俺が受けとると、えみはニッコリ微笑んで足早に行ってしまった。
「…」
教室に入ると、俺は照れくささと複雑な思いで自分の席に着いた。
そしてさりげなくえみの姿を捜す。
彼女は友達に囲まれて楽しそうに笑っていた。
そのとき
「よっ晶午、おはよ」
「幸二っ…お、おはよ…」
いきなりの幸二登場に、俺はドキッとした。
「なんか、お前そわそわしてない?」
「べ、別に?」
「ふーん。まっ、いいや。しかし休み明けは眠いよな。ふぁぁー」
「うん…」