4月は君のぬくもり
第6章 恋のライバル
晶午side
それから三日目の朝。
下駄箱へ行くと、えみが待っていた。
「おはよう、津田君!
今日もお弁当作ってきたわ」
「…えっ」
「この前おいしかったって言ってもらえて、すごく嬉しかったの」
「…」
えみは大きな目をくりくりさせてしゃべった。
俺は考えた。
今はっきりさせておかないと、彼女に今後期待を持たせてしまう事になると。
それはもっとかわいそうだった。
「ごめん、牧村さん」
「え?」
「君の気持ちは嬉しいよ。でも俺、好きな人がいるんだ」
「もしかして…由衣先生の事?」
「っ」
俺はえみの発した名前に目を見開いて驚く。
「やっぱりそうなんだ…。少し前、偶然テレビに先生と津田君が一緒に映っているのを見て、まさかとは思ったけど」
「違う、先生じゃない!」
「もういい…由衣先生とじゃ、とても私に勝ち目はないわ…ううっ」
「牧村さん、待って」
えみは悲痛な顔で教室の方へ駆けて行った。