4月は君のぬくもり
第9章 告白
晶午side
「…由衣っ」
ハァ、ハァ…
どこだ?どこにいるっ!!
俺は携帯を耳にあてながら、校内を必死で捜し回っていた。
『やめてぇっ、阪口先生!!』
それを聞いて俺は叫ぶ。
「だめだっ、阪口!!由衣に触るんじゃない!!」
由衣の悲痛な声に胸がはり裂けそうになりながら、俺は走った。
もう五時間目の授業が始まっている。ちょうど携帯の電源を切ろうとして、由衣からの着信が鳴った。
「…っ」
俺の声は多分由衣には届いていない。ポケットに入れているだろう携帯からは、布の擦れあうような雑音とともに、二人のやりとりが聞こえてくる。
俺はずっと勘違いをしていたんだ。
由衣は、阪口のことなど好きではなかった。