テキストサイズ

神様の願い事

第7章 謎のオバケ

《sideS》



やっべえ。


翔「こ、これは駄目だ」


イカン、イカンぞ。あれ、本物じゃねえか。


翔「いつから本物に...つか、どうしよう」


そりゃ松潤に白い目で見られる訳だよ。
仲間の私生活を覗き見してニヤけてるなんて、完全にヤバい奴だ。


翔「くっ」


剥がれねえし。どうすんだよコレ。
そうだ、ジジイだ。あのお爺さんに会って何とかして貰わなきゃ。

つか、何処にいるんだあのジジイ。
あの商店街にだってたまたま現れただけだろう。
こんな事なら連絡先を聞いておけば良かった。

それならクレームだっていつでも付けられるものを、俺とした事がなんという初歩的ミス。

よし寝よう。


翔「...っ、ね、寝れねぇっっ」


あのジジイ、夢にだって出てきたんだから寝て夢の中に誘き出してやろうと思ったのに。
こんな覚醒した頭で寝れる訳ねえだろうがよ。


翔「やっぱ商店街か」


今は何時だ。もう夜中じゃねえか。
早く寝ないと明日に響くというのに。
だけどどっちにしろ寝られないんだからこの時間を有効に使った方がいいのか。


翔「う~...、よし、行こう!」


明日、時間が取れるとも限らないし、それなら今のうちにと俺は商店街を目指した。






翔「うわ、曇ってんな…」


こんな夜中に、しかも雨だって今にも降りそうだ。
だけど歩を止める訳にいかない。
お爺さんだって居るかどうかもわからないけど、俺はどうしても抗議をしなくちゃいけないんだ。


翔「頼む、居てくれよ...」


そう祈りながら、俺は静寂な暗闇の中を駆け抜ける。


翔「はぁっ、はぁ、着いた...」


まだ居ない。そうか、あの角を曲がった辺りだったかな。


翔「お爺さん、話があるんですけどぉ~...」


静まり返った商店街には、俺の声がこだまして。
チカチカと点滅する街灯が俺の背を震わせる。


翔「こ、こんな不気味だったっけ」


夢にも出て来るような正体不明のお爺さん。
それはよく考えれば、生身の人間には到底出来ないような不思議な事だらけだった。


翔「居ないなら帰りますよ~...」


辺りを見回しても不気味さが増すだけで。

俺の足はすっかり竦んでしまったし、お爺さんも現われない。


翔「ま、また来ま~す」



そう捨て台詞を吐いて、俺は踵を翻した。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ