
神様の願い事
第7章 謎のオバケ
翔「俺の思い過ごしかな」
智「え?」
翔「今日、ぎこちないって言うか、よそよそしかったでしょ?」
智「俺...?」
翔「うん」
自分でも気付いてもいない時に、既に態度に表れていたなんて。
見透かされていた事に驚きを隠せず、俺は咄嗟に目を逸らした。
翔「それともまだ、避けてる...?」
さっきまで“気持ちいい”なんて微睡んでいたのに、頭に被ったタオルの隙間からは真っ直ぐな瞳を覗かせている。
智「さ、避けてないよ」
その瞳があまりに俺をしっかり捉えるもんだから、もう言葉もスラスラと出てきやしない。
翔「じゃあどうして逸らすの?」
智「え...?」
翔「目、逸らしたでしょ?」
智「それは...」
駄目だ。こんなんじゃバレる。
俺がどんな目で翔くんを見ているか、気付かれてしまう。
智「だって今日は」
なんとか誤魔化さないと。
智「翔くんの、キスシーン見ちゃったし…」
って、何を言ってんだ俺は。
翔「はっ?」
智「してたじゃん。ニノと」
翔「はぁぁ? だからあれはフリだけで」
智「んな事言っても、俺が行かなかったらしてたでしょ?」
翔「しないでしょ。だってニノは仲間だよ?」
智「でも」
誤魔化すだけのつもりが、なんだかおかしな会話になってしまった。
智「もうちょっとで、くっつきそうだったじゃん」
翔「だからそれは...」
智「ニノの事好きなの?」
ヤバい。バレちゃいけないと焦ってるからかな。
口が止まんねえや。
翔「はい?」
智「めっちゃ見つめてたし」
翔「あれは固まってただけで」
智「相葉ちゃんじゃなかったら、本当はニノだったとか?」
翔「どうしてそうなるの」
これじゃまるでヤキモチを妬いてるみたいじゃないか。
智「駄目だよ」
翔「え?」
いるはずの翔くんの好きな人。
それが気になって。
智「ニノの事。好きになっちゃ駄目だから」
あんな所を見てしまったもんだから、まさかニノだったのかと愕然としたんだ。
翔「それどういう意味...?」
だけどそんな事思ってるとか、気付かれちゃいけないし。
智「相葉ちゃんが悲しむでしょ?」
翔「あぁ、そっちの意味、ね…」
なんとか誤魔化すんだ。
化けの皮が剥がれないよう、気を付けるんだ。
