おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第2章 AD部。
遺伝だからと言ってしまえばそれまでだけれど、アタシを愛して可愛がってくれる両親を恨む事なんて出来ない。
可愛い服は買ってくれないけれど、いつもアタシの心に寄り添ってくれる二人の事は、大好きだもの。
高槻さんと格闘すること数分。やっと高槻さんが眼鏡を返してくれると、「今日は特別に早退させてやるから眼科に行ってコンタクトレンズを作って来い。これは業務命令だ」と言った。
何故に身に付ける物を指図されなきゃいけないのかとも思ったけれど、高槻さんの冷たい目を見ると、怖くて何も言えなくなる。
そんなアタシの心の内など意に介さず、高槻さんは棚から小さな箱を取り上げると、「これを見た事があるか」とアタシに尋ねた。
アタシが首を横に振ると、「今時、どんな箱入り娘だ」と溜息を吐く高槻さん。アタシの家はお金持ちじゃないし、箱入り娘だなんて思った事はないのに。
多分、物を知らないって馬鹿にされているんだよね。それは分かっているから、アタシは素直に謝った。
すると高槻さんは、「知らないならこれから覚えていけばいい」と、意外にも優しい言葉をくれたのだった。
「何なら今から勉強するか?」と言って高槻さんは、箱から中の物を取り出した。