おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第2章 AD部。
それはツルンとした楕円状の物で掌に載る程、小さな物体だった。それが何なのかを知らないアタシは素直に頷くと、隣に立っていた下出が、ちょっとだけ弾んだ声で「マジか」と言う。
高槻さんは「勉強熱心なのは、良い事だ」と言って、口の端を吊り上げると、アタシの足元にしゃがみ込んだ。
「下出、お前の後ろの棚に拘束具がある。それで森脇の腕を棚に縛り付けろ」
高槻さんがそう言うと、下出は棚から黒いベルトの様な物を取り出し、アタシの腕をスチールの棚に固定する。
そして下出は、「これは上司命令だから、悪く思うなよ?」と言って、アタシの顔から眼鏡を奪う。「眼鏡を外せ」とは、高槻さんは一言も言っていないのに。
大体、眼鏡を外されると視界が墨絵のようにぼんやりして、何がなんだか分からない。これで勉強になるんだろうか。
そんな事を思っていると、突然、ファスナーが下ろされる音が聞こえ、腰回りがスースーし始めた。
驚いて下を見ると、アタシの腰回りを覆っていた筈の紺色の物が見えない。その代わりに、その部分は何となく肌色。そして足元回りには色濃い物体。
こ……これはもしや……。スカートが!?