おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第14章 盗み聞き。
「何でかなぁ……。こんな事を言ったら失礼なのかも知れないけど、何か、いじらしいんだよね。ヤマもそう思ってるんでしょう?」
「あ? んー……、どうだろう?」
「隠さなくてもいいよ。今まで部署に来た女の子達に対する態度と、違うじゃない?」
平川さんが山岡さんに話を振ると、アタシの胸はドクンドクンと暴れ始める。山岡さん、何て答えるんだろう。
「何かさ、モリリンって俺の妹に似てるんだよね。だから放って置けないっていうか……。まあ、担当だし、放って置いちゃまずいんだけど」
「妹」か。そう言えば、そんな事を前にも言われたっけ。じゃあ、頼子さんのお店に行った時、何であんな事をしたんだろう。
「妹さんかぁ。"女"として見ていないって事?」
(嫌だ。その続きは聞きたくない!)
アタシは思わず耳を塞ぎ、布団の中に潜り込む。
(……って、あれ? 何でアタシったら、こんな事を思うの? )
山岡さんは、研修の担当者としてアタシに親切にしてくれているだけだ。そして、川上さんも時々悪魔になるけど、親身になって指導してくれている。
同じくらいの時間をお二人と過ごしているのに、何で山岡さんに対してだけ、胸が痛くなったり切なくなったりするんだろう。よく分からない。