おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第14章 盗み聞き。
誰に訊けば分かるのだろうかと考えを巡らせていると、池田先生の顔が思い浮かんだ。お医者様だし、きっと納得のいく回答をくれるに違いない。後でメールをしてみよう。そんな事を思っていると、山岡さんの声が耳に届いた。
「"妹"よりは"女"を感じるけど……。うーん……? でも、やっぱり妹かなぁ……」
「妹」と言う言葉に、アタシの胸はまた、ズキンと痛んだ。そして追い打ちをかける川上さんの言葉。
「ヤマの好きなタイプって、大人の色気のあるタイプだもんねぇ。お姉様に転がされるのが好きだもんね?」
「大人のお姉様」か。そう聞いて思い浮かぶのは頼子さんだった。アタシとは正反対だ。綺麗で仕事が出来て、そう言えば、仲が良かったっけ。
山岡さんて頼子さんが好きなのかな……。
でも、頼子さんは女の子の方が好きで……。
(ああ! もう! 頭がぐちゃぐちゃだよっ!!)
もう、カーテンの向こう側の声など、アタシの耳には入ってこない。唯、どうしてこんなに切ないのか。山岡さんに女として見て貰えていないのが、何で悲しいんだろうとか、そんな事ばかりを考えてしまう。
平川さんが、アタシの事をどう思っているのか気になった事など、すっかり忘れてしまっていた。
そんなアタシは、終業時間を迎えると、直ぐに池田先生にメールを送ったのだった。