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おもちゃのCHU-CHU-CHU★

第14章 盗み聞き。


 コーヒーが運ばれてくる間、手持ち無沙汰で掌のスマートフォンを弄る。池田先生はメールを読んでくれただろうか。ひょっとして、今は未だお仕事中だったかな。「いつでも」とは言ってくれたけれど、迷惑だったかも知れない。

 直ぐに返信が来ない事で、色々と不安になってくる。それに、気が付いてみれば、胸の痛みが治まっていた。ひょっとしたら、治ったのかも知れない。

 アタシは池田先生にメールを送った事を後悔し、「先程送ったメールは忘れてくれるように」と再度メールを送ろうとメールのアプリを立ちあげた時だった。

 受信画面が立ち上がり、メールの受信を知らせてくれる。着信したメールを見てみると、池田先生からだった。やはり、まだお仕事中で、『二十二時には終わるから、その後にメールをします』との事だった。

 そんなに遅くまでお仕事をしている先生に迷惑を掛けたくはないので、アタシは『さっきのメールは忘れて下さい』と返信する。

 もやもやとした気持ちはなくなってはいないが、胸の痛みが取れたのだから、先生の手を煩わせるまでもない。あの痛みは何だったのだろうかと首を捻りながらも、アタシは運ばれてきたコーヒーに口を付けた。

 芳ばしく苦いコーヒーの味が口に広がる。ビールに苦みは美味しいと思わなかったけれど、コーヒーの味は、大人になるにつれ平気になった。今では美味しいとさえ思えるのは、慣れたからなのだろうか。

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