おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第14章 盗み聞き。
お酒も飲んでいる内に美味しいと感じる様になるのかな。帰りにコンビニに寄って、ビールを買ってみよう。そう言えば、来週の金曜日に歓迎会としてAD部全員で飲みに行くと川上さんに言われていたのだった。少しは練習しておいた方がいいのかも。
そんな事を思いながらふとテーブルの上に置いたままのスマートフォンを見ると、いつの間に着信していたのか、ランプが点滅していた。開いて見れば、それは池田先生からで、『やはり気になるから、後でメールをします』と、短い一言が書いてあった。
お仕事中なのにも関わらず、返信をしてくれた早さを思うと、アタシを心配してくれている事が伺える。
先生に迷惑を掛けてしまった。やはりメールなんかしなきゃよかった等と、今更後悔しても遅いのだが、そう思わずにはいられなかった。
アタシは周りの人に迷惑を掛けてばかりだ。もっとちゃんとしなければと思うのだが、どうすればいいのか分からない。
川上さんには自信を持つ様に言われたけれど、どうしたら自信が持てるのかが分からない。だって、アタシは何も変わっていないから。
メイクや洋服で、少しだけ見られるようになったかも知れないけれど、中身はこれまでのアタシと少しも変わらない。
少しでもおかしなところがあれば、「笑われるんじゃないか」とか「陰で何かを言われているんじゃないか」とか、そんな事ばかりを考えてしまって、人と話すのが怖くなる。