おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第17章 桜の花弁舞い散る夜にアタシの花弁は濡れそぼる。
「部長、たまちゃんは女の子なんですから、ビールよりもカクテルの方がいいですよ?」
そう言って平川さんが、プラスチックのコップに飲み物を作ってくれて坂内部長に手渡した。
坂内部長は「すまない」と言って、それを受け取りアタシに手渡してくれる。コップの中には、濃い赤色の液体が注がれていた。
「カシスオレンジだったら、ジュースみたいだから……。大丈夫かな?」
坂内部長を挟んで反対側に座っていた平川さんが、そう言ってアタシに微笑む。サワーとかチューハイじゃなくて"カクテル"って言うところが、平川さんらしいなと思う。とは言っても、その違いが分からないアタシなのだけれど。
「はい。多分……」
出来ればアルコールのない、オレンジジュースだけが良かったが、皆さんがお酒を飲むのに、自分だけジュースと言うワケにはいかないだろうと、アタシは頷いた。
「皆、揃ったか? それでは、坂内部長。乾杯の音頭をお願いします」
皆に飲み物が行き渡った事を確認すると、高槻さんが坂内部長にそう言った。部長は、「そう言うの苦手なんだけどなぁ」と頭を掻く。「そう言わずにお願いします」と高槻さんに言われ、坂内部長は渋々と言った感じで口を開いた。