おもちゃのCHU-CHU-CHU★
第18章 平川拓斗という男(その2)。
彼女の斜め後ろに立っている男。さっき階段で、舐める様に彼女の脚を見ていた男だ。その男の口元が、笑いを堪えるように歪んでいる。
恐らく彼に違いない。けれど、それを確かめようにも、混み合っていて、僕は腕を下ろせなかった。彼女の背中に手を回して確認する事が出来ない。
こうしている間にも、あの男の手が彼女のスカートの中に忍び込み、尻を撫でているかも知れない。そして、彼女が抵抗しない事をいい事に、その手を段々脚の間に……。
彼女は感じやすいから、きっとそれだけで蜜を滲ませるんだ。男はそれに気付くと、彼女の割れ目を指でなぞり、その手を前へと進ませる。そして敏感な彼女の肉芽を指で押し潰すように捏ね回し始める……。
そんな事を想像していると、森脇さんがビクンと身体を強張らせ、僕の胸元に頭を押し付けてきた。声が上がりそうになるのを堪える様に、口元を手で抑えて。
きっと僕の想像通りの事が、見えないところで行われているんだ。それは何とも嫌な気分だった。
「たまちゃん? 本当に何でもないの? 僕は君の彼氏だよ? 僕に頼っていいんだよ?」
僕がそう言うと、森脇さんは涙を溜めた瞳で僕の顔を見上げ、「助けて」と唇を動かす。僕はそれに頷くと、揺れで出来る隙を見計らって手を彼女の背中に回した。そして彼女の身体を弄(まさぐ)る手を掴む。